譲渡損失を利用して定年前に賢く住み替え/子供が独立した後の生活、シニア夫婦の住まいの姿
譲渡損失を利用して定年前に賢く住み替えをしましょう
定年退職後、子供の独立にともなって、一軒家を引き払い、夫婦二人で住みやすい平屋住宅やマンションなどを終の棲家として、引っ越しを検討する人が増えています。
退職金を使ってローンを完済し、新たに駅近くのマンションを、というパターンも多いのですが、実は家を引き払うのであれば給与収入がある現役時代のほうが、節税効果が大きいことをご存知でしたでしょうか?
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譲渡損失による繰越控除制度を利用する
その節税効果とは、自宅の売却に伴う譲渡損失を利用するというもの。
仮に20年前に4000万円で家を購入していたとします。その自宅を売ろうとしたら経年劣化で2000万円にしかならなかった場合、これは2000万円の損失が発生したとみなされるのです。
その2000万円の損失を控除として所得税から売却の翌年の3年間に渡って控除をすることができるのです。
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譲渡損失の効果とは
譲渡損失売却をした年を含めれば都合4年間、所得税から控除ができるのです。
2000万円を4年で割って、毎年500万円の所得控除があれば、所得収入に対する課税は非常に低くなり、年間数十万円以上の減税効果があるでしょう。
これが給与所得が減ってしまった状態では節税効果がかなり低くなるので、現役時代に家を売ってしまった方が良い、ということになるのです。
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譲渡損失繰越控除の条件
ただしこの繰越控除には一定の条件を満たさなくてはいけません。わかりやすく言えば、以下のとおりです。
・売るのは自分が5年以上住んでいる家である
・売る家は、住宅ローンが10年以上残っている
・家を売った金額は住宅ローン残高以下である
これらの条件に適合する人は、是非、検討をしてみましょう。
子供が独立した後の生活はどうする?シニア夫婦の住まいの姿
60歳を超え、定年退職し、子供も独立すると夫婦二人での生活に戻っていくシニア夫婦は多くいます。
そんな人達が老後の生活を送るにはどこが適当であり、住みやすいのか。パターンを提示して探ってみましょう。
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地方に戻って田舎暮らし
都会でずっとサラリーマン生活を送ってきた人の中には、リタイア後は田舎でのんびりとした生活をおくりたいという人もいます。それは夫婦の出身地であったり、全く関係ない場所ということもあります。
メリットは大きな家に住めて生活コストがあまりかからない、海や山などの自然の中で生活できるということでしょう。
逆にデメリットは、子供世帯と会いにくい、買い物やインフラの面で不便なこともある、といったところではないでしょうか。病院が遠いと苦労するかもしれません。
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都会の利便性の良い場所に住む
一方で大きな家を売るか譲るかして、都心の駅近くの2人用のマンションに移り住む人もいます。
メリットはやはりいろいろな面での利便性。買い物、公共施設の利用、病院、娯楽など都心に住むことによる便利さを大きく享受できますし、車がなくても生活できます。これまで住んだ地をそれほど離れなければ、子どもたちとも会いやすいでしょう。
しかし生活コストは田舎よりも住居面を中心にかかるので、貯蓄を十分にしておく必要があります。
何れにせよ老後は収入、通院の問題が大きく頭を悩ませます。その現役時代はあまり気にしなかった問題とうまく向き合えるように、若いうちから計画を立てていきましょう。