新築工事を成功させるために~ローコスト住宅について~【後悔しない新築一戸建て】
ここでは、お客様・工務店の両方の目線から、おもしろいお話をしようと思います。
家を建てる際、お客様が気になるワードは《ローコスト住宅》だと思います。
色々なチラシを見ても、これほどよく使われているワードはないと言ってもいいのではないでしょうか。
数年前、サンコウホームも取り組んでいた時期がありました。
しかし1年程で、これは良くないと思い、すぐに止めました。
1円でも大事にしたいと思う気持ちは誰も同じですが、家を建てる際、予算がない分どこで金額を落とすのか、どんな経費を落とせるのか、これを追求しなくてはなりません。
よく“1,000万以下の2階建てでローコスト住宅を建てる”と謳い家を売ろうとする会社があります。
これは、下請けをどれだけ叩けるかになります。いくら職人の腕が良くても、又は腕の良い大工は嫌がるのです。限度があります。良い家を造るには、それなりに金額が必要です。
サンコウホームではローコストの取り組みをした結果、お客様・サンコウホーム・職人の“三方よし”が必要だと考えました。
サンコウホームでは、1,000万円以下の家づくりは出来ません。
それは、10年後20年後の事を考え、今残るための会社づくりではなく、お客様の家を建ててからの20年後もお付き合いが出来る会社づくりを選びました。
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私が考えるローコスト家づくりの欠点をお話します。
【1】職人の金額を限界まで下げる。
【2】工程に余裕が無く、強度を限界まで上げていない可能性がある。
【3】追加工事だけに頼る。
【4】打合せが少ない(経費が少ない為)
【5】変更が出来ない。
【6】仕上げが粗い。
【7】デザインと強度が両立していない7つのポイントを上げました。
【1】職人の金額を限界まで下げる
これは人件費を下げる目的です。
人件費をどこまで下げるかがローコストの一番重要なところです。
安い人件費で家を建てようとすると、経験値が少ない人や腕が悪い職人が集まりやすくなります。
京都でも以前からよくありますが、ローコスト住宅の会社が会社名を変更していることがあります。これはクレームが出たり、欠陥住宅であったりと社名を変えざるえない理由が出来るからです。
最初から欠陥住宅を売っている会社はありません。これは職人の人件費を切り詰めた結果です。
【2】工程に余裕が無く、強度を限界まで上げられていない可能性がある
特にコンクリートです。基礎工事から仕上げまでの工期が決まっています。
夏でも冬でも1日でも早く家を仕上げなければならないので、基礎のコンクリートの強度が上がるまでに家を建ち上げるのです。
ローコストの家は1日でも早く仕上げることが大切なのです。
現在は、木造の場合はプレカット工法が主流です。工場で土台・柱・梁などが全て加工され、現場で組み立てる工法です。
【3】追加工事だけに頼る
ローコスト住宅でよくありがちな事です。
もちろんお客様が知っていないといけないところでもあります。
ローコスト住宅は規格住宅です。仕様が決まった家を売る事が目的です。
それでも、さらにお金を削っています。ではどこで利益を上げるのでしょう?
それは追加工事になります。追加工事で利益を上げることが会社にとって大事なことになります。
【4】打合せが少ない
経費を削減するためにお客様との接点をなるべく少なくします。
そのため、打合せをして決めていくというより、決まった規格の中から選んでもらう形になります。
決まった物を売る形でないと、経費が削減できないのです。
【5】変更が出来ない
【4】と同じで経費削減が目的です。
【6】仕上げが粗い
ここまで読んでいただいた人にはわかると思いますが、良い職人が集まらないのです。
集まったとしても時間とお金が少ないため、納めることしか考えられていません。
これが欠陥住宅の始まりでもあるのです。
【7】デザインと強度が両立していない
ローコストで家を建てる以上、断熱や気密・性能・強度は諦めなければなりません。
もちろんローコスト住宅では極限まで家のコストを下げています。
建築確認が通るギリギリで家を建てるのです。
サンコウホームでは、家づくりのコンセプトとして《命を守る家》としています。
命を守る家を建てるのに、建築確認が通るギリギリでは無理です。
車でいえばクーラーもついていない、側だけがついていて車は動くけれど中は何もないのと同じです。ただ走ればいいと思うならそれでいいのかもしれません。
ひと昔前ならそれでも良かったかもしれませんが、現在の真夏や真冬の気温では、そのような車では満足することはできないと思います。
つい最近でも欠陥住宅の記事が週刊文春に掲載されていました
京都でもよく建てられているメーカーです。記事を読みましたが、本当に今どきこれほどの手抜き工事が出来るのかと驚くほどの内容でした。
メーカーの名前は◯◯◯◯◯です。CMなども流れているので、ご存知の方も多いと思います。
同じ工務店として恥ずかしい話だと思いますが、ある意味仕方がないと思えた部分もありました。
ローコストで家を建てたいと思うお客様はたくさんいると思います。そのターゲットに家を売る。それは当たり前といえば当たり前の事です。
問題なのは人件費を下げることで解決しているところです。
人件費を削れば削るほど仕上げを急がなければ利益が上がりません。
営業マンや現場監督も多く家を売って利益を上げるシステムになっているので、薄利多売状態で、1人に対する顧客が多すぎて全てしっかり確認が出来ていなかったのだと思います。
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おそらく、欠陥がわかったところで直すことも出来ないくらいの状態だったと思います。
お金と時間をきっちり使わないと良い家づくりは出来ません。ローコスト住宅とは、それだけ危険も承知の上で建てるものだと思います。